平野ビニール工業株式会社

 

今回は磐田市に本社を置く、平野ビニール工業株式会社に取材に伺いました。同社は主に、自動車の座席シートの縫製・裁断等の事業をされており、多くの外国人社員や技能実習生が在籍している会社です。外国人社員や実習生が活躍するために、どのような取組みをされているのか、代表取締役の平野利直様にお話を伺いました。

 

-本日はどうぞよろしくお願いします。まず、平野ビニール工業株式会社の主な事業と外国人社員数などについて教えてください。

「当社では主に四輪車用座席シートの裁断や縫製加工、鉄道内部のシートの裁断等を行っています。社員はおよそ140名ですが、そのうち外国人社員や実習生があわせて80名在籍しており、半数以上が外国人社員・実習生という状況です。」

 

 

-たくさんの外国人社員や実習生を受入れておられるのですね。どういった国籍の方が在籍しているのですか?

「現在は、ブラジル人、フィリピン人、ベトナム人、ペルー人の社員や実習生が在籍しています。少し前までは、インドネシア人やミャンマー人も在籍していました。」

 

 

-外国人が職場に適応し、能力を発揮できるよう工夫されていることはありますか?

 「当社では、経営理念や品質方針、行動指針などを英語やポルトガル語、ベトナム語に翻訳して、それぞれの言語で作成しており、毎日多言語で唱和して共有するようにしています。これは国籍や宗教、文化など背景が異なる外国人と日本人の社員全員がひとつになって仕事を行ううえで、非常に重要なことであると考えています。

 また、会社内に自動翻訳機を導入し、各課や係に配置して、コミュニケーションの補助として使用しています。実際に業務を行ううえで、翻訳機を多用するわけではありませんが、外国人社員や実習生が、どういったことを言いたいのか、大まかに把握する際にとても役に立っています。

 そのほか、語学力の高い人を通訳ができるように育成し、会社の中でのコミュニケーションを助けてもらっています。」

 

 

-コミュニケーションを円滑に行えるよう工夫し、重要な理念等は多言語に翻訳して共有するようにされているのですね。その他にどのようなことをされていますか。

「音楽で多文化交流を行い、自分の祖国を想起してもらうため、会社内で1日4回ブラジル、ペルー、インドネシア、フィリピン、ベトナムそして日本の国歌を流しています。

また企業内で日本語教室を開催しています。外国人社員や実習生が日本語弱者のままいることのないよう、会社で費用を負担し、月に2度、日本語講師の方に来てもらっています。外国人社員や実習生は一生懸命日本語を勉強しており、日本語教室を楽しみにしている人もいます。そしてこの日本語教室には、外国人だけでなく、日本人社員も一緒に混ざって参加し、日本語を学ぶ手助けをしています。」

 

-外国人だけではなく、日本人も一緒に日本語教室に出席して、勉強をされているのですね?

 「会社としては、外国人という枠を外し、日本人・外国人に関わらず共に働く仲間であるという意識を大切にしており、日本人・外国人に関わらず共に働く仲間のことを社内用語で「HIRAVI Associates」(ヒラビ・アソシエイト)と呼んでいます。もし自分が外国人だったとしたら、どんな人と一緒に働きたいかということを考えたときに、上から物を言うだけで、単純労働者としてみなしている人と、平等に扱ってくれる人で一緒に苦しみ、痛みが分かってくれる人とでは、やはり、後者のような人と働きたいと思いますし、そうした人への信頼は厚いと思います。

 そのほか、技能実習生の受ける技能検定も実習生にだけ受検させるのではなく、管理する日本人も試験を受けて検定を取得するようにしており、技能実習生にしっかりとした技術を教えるということを大切にしています。」

 

-貴社の外国人社員や実習生は地域とも良好な関係を築いていると伺いました。

「外国人社員や実習生には、住んでいる寮のある地域の自治会活動に出席してもらうよう勧めています。会社では自治会から、草刈や防災訓練といった活動の年間計画をもらい、会社の年間スケジュールに組み込んでいます。」

 

-外国人社員や実習生に地域の活動へ参加してもらう際に、どのような支援や工夫をされましたか?

「特に特別なことが必要なわけではなく、企業の側が外国人社員や実習生の背中を押してあげればいいと思います。

 ベトナム人やフィリピン人の方は、母国でも非常に地域とのつながりを大切にしており、機会があれば喜んで地域の中に出て行きます。ただ、そうした地域とつながる機会を知らなかったり、きっかけがなかったりするという部分があります。ここの部分を企業がつないであげる必要があると思います。

 一度参加してみると、外国人は皆あいさつもできるし、ほとんど欠席もしないので、地域の人から好感をもたれています。」

 

 

-地域にとっても外国人社員にとってもポジティブな結果が出ているわけですね。

「外国人社員や実習生を地域がサポートしてくれるようになりました。一緒になって最初の一歩を踏み出してあげるというのが重要だと思います。」

 

-本日は貴重なお話ありがとうございました。

 

平野ビニール工業株式会社 (URLhttps://hiravi.co.jp/