三恵株式会社

今回は磐田市西平松に本社を置く、三恵株式会社に取材に伺いました。同社は主にプラスチックを加工した自動車部品の製造・販売をされていますが、外国人従業員が活躍するために、どのような取組みをされているのか、取締役社長の所 洋史様、取締役営業技術部長の前田 勉様、竜洋オートパーツ協同組合の鈴木 望実様にお話を伺いました。

-本日はどうぞよろしくお願いします。まず、三恵株式会社の主な事業と外国人社員数などについて教えてください。
「当社では、プラスチックを利用した自動車部品の製造、販売を主に行っています。外国人社員については、ブラジル人の正社員が3名在籍しているほか、フィリピン人技能実習生を受け入れており、現在は、40名ほどが、当社で実習を行っています。」

 -外国人社員や技能実習生はどのようにして受け入れているのですか。
「ブラジル人社員のうち2名は、もともと派遣社員として受け入れ、派遣元との契約が終了した後に、正社員として改めて雇用しました。また、もう1名のブラジル人社員は、通常の採用面接にて応募があり、採用を決めました。
 一方で、フィリピン人技能実習生は、2005年から受け入れています。当初は、既存の監理団体を通じて受け入れていましたが、2012年からは、自社内に「竜洋オートパーツ協同組合」という監理団体を立ち上げ、そこを通じて技能実習生の受け入れを行っています。」

-たくさんの外国人技能実習生を受入れておられるのですね。外国人技能実習生が職場に適応し、能力を発揮できるよう工夫されていることはありますか?
 「業務については、技能実習生が、希望すれば実習を続けていくことができるよう、技能検定3級の取得支援を行っています。また、監理団体が来日直後に行う日本語研修も、より実習に即した日本語を習得できるように工夫しています。工場内での実習では、安全教育が不可欠です。そのためにも、しっかりと日本語能力を身につけてもらわなければなりません。また、独自で作成している教材を使用して、生活するうえで困らない日本語が取得できるよう支援しています。」

-監理団体が企業内に設置されていることで、より効果的な研修を行うことができるといったメリットがあるわけですね。
「それに加え、監理団体である竜洋オートパーツ協同組合には、技能実習生をサポートすることのできる担当者を配置しています。会社の生活指導員と組合職員が連携して、業務に関することだけではなく、生活上の支援も含めて、全般的なサポートをしてもらっています。例えば、実習生が新たに来日した際には最寄りの診療所に紹介しておき、安心して受診できるようにしておきます。実習生が病気になった時には、必要に応じて、一緒に病院まで付き添ったり、実習生たちがホームシックにならないよう、英語でも見ることのできる映画に一緒に連れて行ったり、といった生活全般の支援もしています。実習生を受け入れるうえで、安心して実習ができる環境を企業が確立しなければならないと思いますが、それは職場の中だけで完結する問題ではなく、生活上のことまで含めて考える必要があると考えています。」

-生活上の相談やサポートにこれほど親切に応じてくれる窓口があると、異国で実習を行う実習生たちにとってはとても心強いですね。
「実習生を受け入れていると、色々なトラブルや問題が発生します。しかし、受け入れた以上は企業がしっかり面倒を見なければ、という気持ちでサポートを行っています。実習生が飛行機に乗って無事に帰るまでは、企業の責任だと考えています。フィリピンに帰る実習生たちは皆、『三恵で実習をすることができてよかった。チャンスがあればまた来たい。』と言って帰っていきます。帰国後、近況報告をくれる人もいます。実習中に貯めたお金を元手にして、母国で、会社経営や農園経営をしたりしている人や、ブティックを開業したりしている人などもいます。」

-御社の技能実習生は居住する地域とも関係を構築していて、地元のお祭りにも参加されたと伺いました。
「最初は、私あてに、知り合いから『お祭りの担い手が不足していて、山車を出すことができない。実習生にお祭りを手伝ってもらえないか。』と言われたのがきっかけです。そういったお話を受けて、技能実習生に自由参加でボランティアとして参加してもらいました。
 参加した技能実習生にとっては、日本文化を体験する貴重な機会となり、とても満足した様子でした。地域の人の中には、反対意見も含め様々な意見があったのではないかと思いますが、好意的な反応が多くあったのも事実です。山車を引く人がなかなかいない、という状況の中で、少しはお祭りを盛り上げることができたのではないかと思います。今後、徐々に時間をかけながら馴染んでいくことで、少しずつ賛成してくれる方が増えていってくれれば、と思っています。
 技能実習生は文化や習慣が全く異なる国からきています。そのため、地域社会のルールを覚えてもらって、地域社会と良い関係を築くためには努力が必要ですが、今回のことをきっかけに地域社会と連携を深め、災害時に助け合ったりすることのできる関係性を作れるようにしたいと考えています。」

-最後に今後外国人社員や技能実習生に期待されることを教えてください。
 「今後、日本人の労働人口は減少していくことが明らかです。そうした状況において、外国人にとっても、また我々企業にとっても、お互いにとってよりメリットのある関係性を作っていく必要があると感じています。また元々、男性の多い職場でもあるので、いつか男性の技能実習生も受入れることができればいいですね。」

-本日は貴重なお話ありがとうございました。

三恵株式会社 (URLhttp://www.sankei-corp.com/