外国人も活躍しやすい静岡県を目指して

焼津市役所嘱託員

石川エリーさん

 

27回「Life in Shizuoka」では、焼津市役所でタガログ語通訳などの仕事をされている、フィリピン出身の石川エリーさんを紹介します。

 

氏 名 :石川エリーさん

出身国 :フィリピン

居住地 :藤枝市

職 業  :焼津市役所嘱託員(タガログ語通訳)

 -どんな仕事をしていますか?

 

 通訳や翻訳に関する業務を全般的に行っています。また市役所に来庁されたフィリピン国籍の方の対応・案内もしています。各種証明書の発行や各種届出の案内のほか、マイナンバーや保険、年金、税金、子育てなど様々な用件で来庁されるお客さまと市役所職員をつなぐ仕事をしています。

  

-話せる言語を教えてください。

 

 日本語、英語、タガログ語を話すことができるのに加え、大学でドイツ語とフランス語を学んでいました。最近はポルトガル語にも興味があるので、時間があれば勉強したいと思っています。

  

-自分の出身国をひとことで表現するとどんな場所ですか?

 

 フィリピンはあたたかい国です。気候はもちろん、人も。フィリピン人は“Hospitable”(「もてなしのよい」、「手厚い」の意)で有名であり、面倒見がよく、近所の子どもたちが互いの家を自由に行き来できる環境で、地域全体で子育てをしています。嫌なことがあったとしても、初対面同士でも、笑顔を忘れない家族思いの人が多いです。

  

- 海外の友人があなたの母国を訪れたら、どんなところへ案内しますか?

 

 フィリピンらしいところであれば、パレンケ(市場)にぜひ案内したいです。とても賑わっていて、フィリピンの暮らしや文化に触れることができると思います。フィリピンはセブ島などリゾート地区がよく知られていますが、歴史的な街並みも数多く残っています。特にクリスマスシーズンはキャロルやイルミネーション、色とりどりな装飾が街を彩り、街全体がクリスマスムードに包まれています。

 

-海外の友人があなたの母国を訪れたら、どんな料理でもてなしますか?

 

 すべての料理がおすすめですが、まずはやはりアドボ(肉や野菜の煮込み料理)です。アドボの作り方は沢山あり、各家庭によって作り方と味が違います。日本の調味料でも作ることができます。レッチョン・バボイ(豚の丸焼き)もおもてなし料理にはうってつけです。熱帯特有のフルーツも安くておいしいですが、なかでもグリーンマンゴーが最高です。日本で売っている完熟マンゴーとは異なり、未熟な緑色のマンゴーのことで、皮まで食べることができます。そのほか、日本でもよく知られているハロハロ(かき氷)もぜひご賞味頂きたいですね。好きなものを入れてオリジナルのハロハロを作ると楽しいです。

  

-普段、どのように週末を過ごしますか?

 

 家族で県内をドライブしたり、旅行、映画鑑賞、ピクニック、グルメなどの趣味に時間を使ったりしています。そのほか、中学の頃に始め、学生時代に熱中したダンスを学生向けにレッスンしたりもしています。

  

-静岡県の中で一番好きな場所はどこですか?

 

 まだ県内でも行ったことのない地域があるので、一番を決めるのは難しいですが、今まで行った中で最も印象に残っているのは伊豆高原です。毎年家族で旅行しますが、どこかフィリピンに似たところがあり、懐かしく感じることがあります。温泉も大好きです。花火も好きで、焼津の海上花火にも行きました。海上花火は綺麗ですよね。有名な袋井の花火大会にもいつか行ってみたいですね。

  

-静岡県(日本)の食べ物のなかで一番好きなものは何ですか?

 

 魚介類が好きでやはりお寿司ですね。海鮮丼も一度食べたらやみつきになります。海に面していて、色々な種類の新鮮な魚介類を食べられることが静岡県民の特権だと思います。そのほか、抹茶、甘酒、つけもの類も好物です。

  

-あなたの母国から家族(友人)が尋ねてきたら静岡のどこへ案内しますか?

 

 近場で考えると、動物園などのある日本平、富士山の見える三保の松原、あとは駿府城公園です。少し離れた場所でしたら、シャボテン公園や大室山のある伊豆半島、紅葉と吊り橋が美しい寸又峡ですね。時期があえば、大道芸も一緒に楽しみたいと思います。

  

- 外国人の活躍しやすい静岡県になるために何が必要だと思いますか?

 

 まず日本語教育だと思います。外国人が母国以外で生活していくうえで、何よりも必要となるのがやはり「言葉」です。これは外国人の私が身をもって経験したことです。ジェスチャーだけでは限界があり、笑顔だけでは自分の意思を伝えることができません。日本で生活し、就職して家族を作るのであれば、せめて日常会話ができる日本語能力は身につけるべきです。日本人と交流し、その中で身につけることができれば手っ取り早いですが、日本人と接点がない外国人も多く、周囲の援助が不可欠だと思います。子どもから大人まで誰もが受講しやすい日本語講座が増えればいいなと思います。

 

 次に子育て支援ですね。日本で子育てすることを考えているという段階の人たちから支援を始めるのがベストだと思います。子どもを産んでから支援を始めるより、妊娠中から支援を始めることで、重要な手続き等を見落とすことが少なくなると思います。日本では子育てに関して様々な支援制度が用意されていると思います。特に母子手帳というシステムには驚きました。自国のやり方や自分の家の子育ての仕方など偏った知識に頼ることのないように、情報を入手しやすい環境になればいいなと思います。

 

 そしてなるべく外国人も日本人と変わらない暮らしができる環境が必要だと思います。知らない土地で暮らす外国人にとっては、生活するのも必死です。外国人が抱えているストレスや悩みは大きいと思います。そういった外国人がストレスを発散できる環境を整えてあげられることが必要だと思います。日本でしかできないことはとても多いですし、イベントや行事などのほか、習い事や旅行などさまざまな方法がありますが、知らない外国人は多いです。なかには空港から焼津に来て、焼津から出たことのないという人までいます。そうした人たちに、生活の情報も含め「日本だからできること」に関して情報提供ができればと思います。

 

 これらのことは、外国人を日本色に染め上げているかのように聞こえてしまうかもしれません。しかし「知らない」というだけで損してしまうこと、「知らない」ではすまされないことが沢山あります。外国人が自分らしさを残しつつ、日本社会に馴染めるように視野を広げることができれば、もっと暮らしやすくなるのではと思います。そうした壁を越えられるよう手助けすることが必要ではないでしょうか。

  

- 静岡県の人々に一言お願いします。

 

 第二の故郷とも言える静岡。大都会でもなく田舎でもない、でも食と自然が豊かでとっても暮らしやすい。他の外国人の方にもそう感じてもらえるよう、皆で盛り上げていきましょう!目指せHome for ForeignersMabuhay Shizuoka!(静岡万歳!)

 

-最後に海外の人々に向けた静岡PRをお願いします。 

 

 海と山の幸に恵まれた静岡。気候もちょうどよく、のんびりしていて、世界遺産や観光名所も多いです。春は河津桜の並木道で花見、夏は熱海のサンビーチで海水浴、秋は寸又峡のエメラルドグリーンの川に映える紅葉にうっとりし、冬は富士山の雪化粧を眺められます。四季を楽しむならぜひ静岡へ!