日本語とフィリピンの言語で人の役に立つ仕事を

焼津市役所嘱託員

森本ヒロミさん

 

27回「Life in Shizuoka」では、焼津市役所から、ビサヤ語通訳などの仕事をしているフィリピン出身の森本ヒロミさんを紹介します。

 

氏 名 :森本ヒロミ

出身国 :フィリピン セブ市

居住地 :藤枝市

職業  :焼津市役所嘱託員(ビサヤ語通訳)

 

-どんな仕事をしていますか?

 

 焼津市役所で外国語通訳・翻訳の仕事をしています。市役所で日本語が困難な方のために住民登録から様々な手続きなどに通訳としてサポートをしています。焼津市在住のフィリピン人は日本語を習得する機会がなかったり、来日して仕事が忙しく時間がなかったり、という人が多いのが現状です。そのため、デスクで作業をする時間がないくらい、多くの方が相談に来られることもあります。

 

 相談のほか、ビサヤ語版の「広報やいづ」などの翻訳なども行っています。ビサヤ語は、日本語に比べ、ひとつの単語の文字数が多いので、文章が長くなって紙面が足りなくなる傾向があります。なので、言葉を選びながら翻訳をするようにしています。今まで学んできた日本語とフィリピンの言語で多くの方のお役に立つことができれば、大変嬉しく思います。

 

話せる言語を教えてください。

 

 話せる言語はビサヤ語、タガログ語、日本語、そして英語です。出身のセブ市の公用語はビサヤ語に分類されるセブアノ語ですが、テレビなどはタガログ語で放送されますのでタガログ語を自然に覚えました。

 

-日本にはいつごろから住まれていますか?

 

 幼い頃、一度日本に来たことはありましたが、基本的には11歳くらいまで、出身のセブで過ごしました。その後、日本に来て、急に中学校に編入する事になりました。当時は日本語の知識は漢字もひらがなもカタカナもゼロでしたが、授業で黒板に書かれている漢字を調べたり、読書をしたりして日本語を学びました。小さい頃から言葉を学ぶこと自体は好きでした。確かに大変ではありましたが、ある意味では良いチャレンジだったと思います。

 

自分の出身国をひとことで表現するとどんな場所ですか?

 

 人々を魅了する美しい海と砂浜のある7100以上の島で構成されている国です。セブ島以外にも神秘的で綺麗な離島が沢山あり、世界的に高く評価される海と南国の雰囲気に囲まれてゆったりとくつろげます。最近10年以上ぶりにフィリピンを訪れましたが、やはり絶景でした。また人々も親しみやすい国民性で、明るく優しい人が多いです。フィリピンに行くと分かりますが、ホスピタリティがあり、おもてなしの文化、年配者を敬う文化、家族を誰よりも大切にする文化が根付いているので幸せな人が多いです。すべてにおいて魅力的な国です。

 

海外の友人があなたの母国を訪れたら、どんなところへ案内しますか?

 

 セブ島最南端のオスロブで、ジンベエザメウォッチングに案内したいです。日本国内の水族館でもジンベエザメが見られますが、オスロブでは一緒に泳ぐことができるので、迫力満点のシュノーケリングが体験できます。またすぐ近くにはセブ島最大の滝「カワサンフォール」があり、森林に囲まれてマイナスイオンをたっぷり吸収できます。美しい鮮やかな青色の滝つぼで泳いだり、いかだでのんびり過ごしたり、他にも多彩なアクティビティを体験できます。

 

海外の友人があなたの母国を訪れたら、どんな料理でもてなしますか?

 

フィリピンは美食の国です。スペイン植民地時代の影響からスペイン料理に似た家庭料理が多数あります。私の大好物は、肉や野菜のマリネである「アドボ」です。地方によって味や作り方が異なるため、何度食べても飽きません。私は辛いものが好きなのでいっぱい唐辛子を入れて食べます。

 

楽しく食事するならフィリピン流の食事方式「ブードルファイト」もいいですね。これは元々軍隊式の食事方法で、バナナの葉っぱをテーブル一杯に敷き、葉の上に、シーフード、レチョン(豚の丸焼き)などのメイン料理、ごはん、フルーツを派手に盛り付け、好きなものを手づかみでとって食べる食べ方です。友人・家族とブードルファイトをすると会話が生まれるし、絆が深まるのでおすすめです。

 

普段、どのように週末を過ごしますか?

 

 家族とドライブすることが多いです。おすすめは伊豆半島のコース。キャンプするのも好きで、キャンプをした翌朝に鳥のさえずりで目覚めるのはとても気持ちがいいです。毎回癒されます。

 

静岡県の中で一番好きな場所はどこですか?

 

 県内ではやはり、伊豆方面が好きです。海と山がつくる大自然の絶景に四季折々の花などリフレッシュできるスポットが沢山あり、夏は透明度の高いビーチでプチリゾート気分が味わえて素敵です。城ヶ崎海岸は絶壁ですが、サンセットが格別に綺麗です。連休があれば、キャンプをしながら伊豆観光がしたいです。

 

静岡県(日本)の食べ物のなかで一番好きなものは?

 

食べ物は全て美味しいので、一番を選ぶのは難しいですが、フィリピンでは生魚を食べません。私も日本に来るまであまり食べたことはありませんでした。

 

しかし来日してすぐ、家族ととても美味しい寿司屋さんで食事をしたことをきっかけに、寿司が大好きになりました。静岡県では美味しいお茶も飲めるので、大好物の寿司とあわせて食べるとより美味しく感じます。 

 

-あなたの母国から家族(友人)が尋ねてきたら静岡のどこへ案内しますか?

 

 富士山を一望することのできる三保の松原です。日本新三景に選ばれた景勝地で、海岸線に連なる松と駿河湾、そして富士山のコラボレーションはまさに一生に一度は見たい絶景だと思うので、ぜひ案内したいです。フィリピンでは「MOUNT FUJI」の名前だけは良く知られていて、みなどこに富士山があるのか知らないのでぜひ紹介したいと思います。 

 

-外国人が活躍しやすい静岡県になるために何が必要だと思いますか?

 

 就労に対する考え、企業文化、人間関係の作り方が、日本と海外では異なります。数多くの課題がある中でも、やはり外国人雇用についての情報を発信することや就職のサポート体制を充実させることが大切だと思います。単に、「外国人でも働ける環境」ではなく、「外国人としての強みを生かせる環境」を整えることから始めるべきだと考えます。「郷に入っては郷に従え」ということわざがありますが、外国人の強みと弱みを日本社会も受け入れる必要があると思います。自分の能力を十分に発揮できないと悩む外国人も少なくないので、働く環境が改善されることがグローバル社会にもつながると思います。

 

-静岡県の人々に一言お願いします。

 

静岡県は都会過ぎず、田舎過ぎない場所で、とても住みやすくて好きです。人々は温厚で素晴らしいです。多文化にもっと触れ合う機会を作ったり、こんなに素晴らしい静岡県の魅力を外国人に発信してください。国籍問わず、笑顔でSHIZUOKAを盛り上げていきましょう。

 

-最後に海外の人々に向けた静岡PRをお願いします。

 

 静岡県は日本一の富士山を抱え、海も山もあり、気候も穏やかで、県自体の収益性も高く、美味しいものが多い恵まれた場所です。静岡県のお茶は多くの人に愛されています。海と山に囲まれた自然を満喫できる観光地が静岡県で発見できます。

 

人々も優しく、田舎に住んでいる人たちは特に優しくて、外国人を暖かく歓迎してくれます。ここだけでは紹介しきれないので是非静岡に行ってみてください。